2019年09月29日
ホルスター製作 その2 上塗り~床処理編

今回は上塗り~床処理編となります。
画像は染色から24時間の経った完全乾燥の状態です。乾燥時間は温度や湿度に左右されますから、環境により乾燥時間は調整して下さい。

上塗りを行います。上塗りをする理由は以下の通りです。
①色止め
②防水
③汚れ防止
④艶出し
上塗り剤には大きく分けてラッカー系と水性があります。最近は性能に大差が無くなって来ています。
今回は染料がアルコール系であるか水性であるか問わずに使用可能な水性を使用しました。
成分にアクリル樹脂を含みますので、完全乾燥後は革に艶とハリが出ます。
MPの革装備のようにテカテカの強艶にしたい場合は数回塗り重ねるか、最初から強艶のエナメル仕上げになる上塗り剤を使用して下さい。
マットな質感を出したい時には艶消しの上塗り剤を使用します。
速乾性が高いので刷毛目が出ないように塗るにはコツを要します。
革の表面に埃が付着していると埃ごと塗り込めてしまいますし、塗った後も完全乾燥までは埃がつかない配慮が必要です。
塗り重ねる回数にもよりますが、標準の2回塗りで完全乾燥には24時間が必要です。

次に床面(革の裏側)とコバ(革の断面)の処理を行います。処理をする理由は以下の通りです。
①毛羽立ち防止
②耐久性向上
③防水
④汚れ防止
画像は床処理前に接着面をマーキングした状態です。床処理をすると毛羽立ちが抑えられてツルツルになる為、接着が出来なくなります。
当時の実物や安価な海外製レプリカにはマトモに床処理がされていない物を多く見掛けます。
必ずしも『実物=高品質』ではありません。実物にもレプリカより劣る品質の個体があります。

革には毛が寝る方向があり、床処理剤を塗って半乾きの状態で毛が寝る一定方向にガラス板で磨きます。←往復はNG
少し乾かしてからメリヤスで磨くと更に艶が出ます。
床処理剤にもアクリル樹脂が含まれており、完全乾燥後は革にハリも出ます。

処理の効果が分かりやすいように右半分だけ処理してみました。
コバ(革の断面)の処理も基本的には床処理の方法と同じです。

床処理剤だけでも十分効果があるのですが、老人ナイフでは更なる革の耐久性と艶を求めて熱したコバ専用ワックスを擦り込んで磨いてあります。
このように老人の製作するアイテムは染色や上塗りだけでも数日を費やして製作しております。
デマで言われているように安価な海外製レプリカを高額で転売したり、粗悪な素材を使って製作した物を高値で出品している訳ではありません。
次回は各種金具の取り付け編です。
Posted by 老人ナイフ at 18:58
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