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老人ナイフ
老人ナイフ
何処にでもいる普通の老人です。

2019年01月27日

アレのメイキング画像

アレのメイキング画像


本日は出品中のGERBER Mark2タイプナイフシースのメイキング画像です。

たまには作っている所もご覧頂かないと、海外で安く作らせた物を法外な値段で売っているなどと根拠の無い噂が立っても困ります。

出品物は老人の趣味として1点1点手作業で製作しております。


アレのメイキング画像


画像は型紙に合わせて革を切り出した状態です。今回の素材には姫路産3mm厚ヌメ革を使用しています。

手前と奥で革の色が異なりますが、素仕上げのヌメ革は紫外線などの外的要因で飴色に変化するのが特徴です。

革の入荷順によって色が濃くなって行きますから、色が濃くなった物は染色用に回します。
それはプロ作家やレザークラフト店も同様です。


アレのメイキング画像


染色をした状態です。

土台のブレード収納部が重なる部分は濃く染めていないのでムラになっていますが、見えない部分なので染料節約コスト削減の為に敢えてそうしています。

染料には水性やアルコール系がありますが、最近は性能に差が無くなってきています。
使いやすい物で良いと思います。(一回で濃く染めたい場合はアルコール系が向いています。)


アレのメイキング画像
アレのメイキング画像


老人は染料で芯通しせず革の表面のみを染めています。

そうする事によって使い込むと下地が出てきてアメカジ用語でいう所の『茶芯』エイジングとなります。
茶芯は古い革製品の特徴と言えます。

芯通ししてある革はいつまで経っても黒いままでヴィンテージのようなエイジングにはなりません。


アレのメイキング画像
アレのメイキング画像
アレのメイキング画像


縫製後に染色出来ない部分のコバ(革の断ち目)は先に染めておきます。


アレのメイキング画像


画像では分かりにくいですが、色止め処理を行った後の状態です。

わずかに艶が出ます。艶は使用に伴い落ち着いてきます。


アレのメイキング画像


ヘチマ型シースはマチを備えていますので、截断した革のハギレからマチのパーツを切り出して接着します。
接着剤については後述します。


アレのメイキング画像
アレのメイキング画像


革の床面の毛羽立ちを抑える為に床処理を行います。

ブレード収納部の裏に関してはメーカーの純正シースですら処理されておりませんが、床処理をしておくとブレードの滑りが良くなりナイフの抜き差しやシースの耐久性が向上します。

ようは電動ガンのピストンレールを磨くのと同じ意味です。

この時、接着する糊代は床処理を行いません。床処理剤で革の表面がツルツルになって接着が出来なくなる為です。
誤って糊代まで処理してしまった場合はヤスリを掛ける事によってリカバリーが可能です。

老人が使っている床処理剤は水性アクリル樹脂を含みますので、処理後は革に若干張りが出て強度が増します。


アレのメイキング画像


先にブレード収納部にボタンを取り付けておきます。縫製後ではボタンの取り付けが出来ません。


アレのメイキング画像
アレのメイキング画像


型紙通りに目打ちでマーキングしてポンチで穴空けをします。

穴空けは床処理の後に行わないと床処理剤が穴から革の表面に回り込み革の表面が荒れてしまいます。

作業手順としては染色→床処理→穴空けの順です。

床処理を染色の前に行う作家やショップもあり、レザークラフトの指南書にもそう書かれている物もありますが、床処理剤が革の銀面(表面)に付着すると床処理剤の被膜によってその部分が染料をはじいてしまいます。

指南書の通りに作業をすると結果的に染色が出来なくなったり、ムラになります。


アレのメイキング画像
アレのメイキング画像


接着面をヤスリで荒らして接着。クランプを施し24時間放置します。

クランプする際は革の截断で出たハギレを挟み込み、革にクランプ跡がつかないような配慮が必要です。

接着剤は大きく分けてゴム系と水性ホワイトボンド系に別れます。

最近は接着力に大差が無くなってきていますが、ゴム系は万一接着剤がはみ出しても拭き取る事が出来ません。
リカバリーはヤスリ掛けのみとなり、革の表面に付着した場合はリカバリー不可能です。

ビギナーには水性の接着剤をお勧めします。


アレのメイキング画像


縫製前にステッチを埋める溝を掘っておきます。

革用の手縫い糸は太く、溝を掘っておかないと革の表面に糸が浮いて切れやすくなってしまいます。

ナイフメーカーの純正シースはミシン縫いですから、革に糸が浮いた状態です。
シースの破損は革の寿命と言うよりも糸の劣化によってシースが崩壊してしまう事が一番の原因です。

革は手入れ次第で人間の寿命以上に長持ちします。

染色前に溝を掘らないのは、溝から染料が革の内部に浸透して染料で芯通しした状態になってしまい茶芯のエイジングにならないからです。
何もかもレザークラフトの指南書通りすると必ず失敗します。


アレのメイキング画像


シースを縫い終えた状態です。

縫製部のコバ処理をしていないのは縫製後でないと革の断面が決定しないからです。
いくら接着してあってもステッチで革を引き締める事によって革の断面は微妙に変化します。

革の断面をカンナやヤスリで整え、染色→コバ処理を行います。


アレのメイキング画像


ベルトや革紐を取り付ければシースの完成です。


アレのメイキング画像


老人が作るナイフシースがどれだけの手間と時間を掛けて製作されているかお分かり頂けたでしょうか?

決して海外で安く作らせた物や単に革を貼り合わせただけの代物を法外な値段で出品している訳ではありません。
根拠の無い噂を流布している者は恥を知りなさい。

老人はこれからもナム戦フリークに便利なアイテムを独自の視点で開発製作して行きます。


アレのメイキング画像


今回の記事で製作過程を紹介したGERBER Mark2タイプシースのオークションは→こちらからどうぞ。

ご落札ありがとうございました。

その他の老人のオークションは→こちらからどうぞ。









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