QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 10人
プロフィール
老人ナイフ
老人ナイフ
何処にでもいる普通の老人です。

2018年09月30日

USMCナイフタイプシース その6 ベンズレザーで作る




作業をしている手を止めて撮影するのは難しいものがありますが、たまには製作風景もご覧頂こうと思いまして撮影しました。

画像はUSMCナイフタイプシースのパーツを截断した状態です。

素材は北米産3mm厚ベンズレザー床革です。





USMCナイフシースは一枚の革を巻いてベルトループにしている構造上、シースの土台になる革は48cmの長尺が必要となります。

つまり、截断前の革はそれは以上の大きさでなければなりません。
幅は大した事はありませんが、幅の狭い長尺の革など扱っている業者もありませんので必然的に大判の革を調達する必要があります。

非常に材料コストの掛かるタイプのナイフシースです。





截断したパーツを接着してステッチ用の溝を掘った状態です。

革用の接着剤には大きく分けてゴム系とホワイトボンド系がありますが最近は接着力にあまり差はありません。
使いやすい物で良いと思います。

ステッチ用の溝を掘るのは視覚的なものと手縫い用の太い糸を埋めるのが目的です。
溝が無いとステッチが浮いて糸切れの原因となります。





ブレード収納部の断面です。

最大で5枚の革が重なっており、使用する革により厚みは1.5cmを越える場合があります。





ブレード収納最上部にリベットを取り付ける為に下穴を開けます。

下穴開けに使っているのは革用のポンチでは無く木工用のドリル刃です。
ポンチは圧で切るので穴の周囲も一緒に凹んでしまいますが、ドリルであればそれは皆無です。

何でもかんでも革用の工具を使えば良い訳ではありません。






下穴にリベットを通してプレス機でカシメます。





このようにカシメられればOKです。

先にブレード収納最上部にリベットを取り付ける理由は接着したパーツのズレ防止が目的です。





カシメには米軍のシースで多用されているハトメに似たチューブラリベットを使用しており、国内には無い規格サイズなので海外から取り寄せています。
カシメる革の厚みによってリベットの長さを変えます。






手縫い用の下穴をプレス機で開けて行きます。

プレス機の使用が前提でないと厚さ1.5cmの革に人力で下穴を開けるのはほぼ不可能です。





画像では分かりにくいですが、縫製を終えた状態です。
縫製は全て手縫いで行っております。

ミシン縫いであればほんの数秒で終わる作業ですが定年を期に息子に動力(ミシン)は禁止されてしまいました。
若い頃は手足のように動力を操ったものです。

視力や反応スピードが落ちているのは自覚しているので仕方ないと考えています。





リベットを打って、革紐を通す穴も開けます。





グリップ固定ベルトを取り付ければシースの完成です。

かなり省略して説明していますが、作業全体の流れは掴めると思います。




こんな感じで一点一点手作業で製作しており、決して数百円で仕入れた海外製のシースを数十倍の価格で出品している訳ではありません。

完全国内生産で商業ペースに乗せるにはミシン縫いでも売価6900円(税抜き)ぐらいの設定でないと利益は出ません。
オークションのスタート額は老人の趣味の範疇だからこそ出来る額なのです。

高いか安いかは個々の価値観によると思いますが同じ物をレザークラフト専門店にワンオフで製作依頼すれば、かなり高額になると思います。
それに作り手に軍用ナイフシースの知識が無いと完成のイメージや使用するパーツにも食い違いが出てくるでしょう。

結果的に似て非なる高額なシースが出来上がって来ると思います。

また、私自身が高齢であるのに加えて健康状態に不安があることから、全ての作品は有限であることも付け加えなくてはなりません。