2019年05月19日
消費者は値下げに鈍感

個人作家の方が製作された作品がオークションで出品されているのをよく見掛けますが、大抵の方が売れないという理由で値下げ交渉を設定したり、どんどん値下げをして行きます。
同じ立場の者としてこの判断は必ずしも適切とは思えません。

『他では売っていない。』『同じ物が無い。』そういう点を付加価値として売りにしているのに価格競争の波に乗ってしまえば薄利多売で出品している大資本の出品者やネットショップに太刀打ち出来る訳がありません。

それに個人作家の場合、大企業のように大量に材料を仕入れられませんから作品の価格は材料コストに大きく影響されます。
更に個人作家を待ち受けるのは消費税率のアップです。恐らく近い将来オークションの落札手数料も10%に引き上げられるでしょう。
個人作家に限らず全ての出品者は大なり小なりの値上げを強いられる状況になるのは疑いようがありません。
値上げに踏み切れない出品者は次々と落伍して行くと思います。

ウォッチリストに登録している商品が100円値下げされても誰一人として見向きもしません。
逆にもっと値下げされないかと待つようになるだけです。
仮に値下げをした価格で落札されればそれがその作品の価値基準(前例)となります。
価値基準(前例)を作ってしまうと更なる値下げは出来ても元の価格に戻したり、正当な理由があっても値上げをするのは非常に難しい。
消費者の感覚は『値下げに鈍感でも値上げには敏感』なのです。
果たしてこの基本的な法則を理解している個人作家がどれだけいるでしょうか?
私は作家としての能力(物を作る能力)と物を売る能力(経営者としての能力)は全く別物と考えていますが、作品を自分で売るのなら多少は専門外の事も勉強する必要があると思います。

消費者は安い物に慣れてしまうと頭の中では値上げの理由を理解していても生活必需品でも無い限り、数十円、数百円の値上げが受け入れられなくなります。
売れないからといって目先の金に囚われて叩き売りになってしまえば活動資金が限られている個人作家はおしまいです。
この老人、イレギュラーなど何か特別な理由が無い限りやみくもに値下げは致しません。
逆もまた然りです。
イレギュラー品の出品などで値下げする際は必ず値下げ理由をブログで説明したり、オークションのページに明記して出品するようにしています。
面倒でもそうしないと作品の価値を維持する事や材料費の値上がりなどで値上げしなければならない状況に陥った際に正当な値上げをする事すら出来なくなってしまいます。
何のアクションも起こさずただ値下げをするのが一番良くない。
個人作家は価格で競争するのでは無く、あくまでも『他では売っていない。』『同じ物が無い。』そういう付加価値を売りにすべきなのです。
オークションに出品されている個人作家の方には売れない時期があってもやみくもに値下げはせず頑張って頂きたいと思います。
Posted by 老人ナイフ at 18:52
│老人のオークション処世術