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老人ナイフ
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何処にでもいる普通の老人です。

2018年12月07日

ヒルトのガタ原因はコレ!

ヒルトのガタ原因はコレ!


米軍パイロットサバイバルナイフ5インチブレードモデル最大の弱点はヒルトのガタつきです。

かなりの割合で古い年代の個体はヒルトにガタが出ています。


ヒルトのガタ原因はコレ!


その原因の殆どがグリップに使われているレザーワッシャーの劣化によるものです。


ヒルトのガタ原因はコレ!


レザーワッシャーが乾燥すると硬化や肉痩せを起こして矢印で示した間隔に隙間が生じます。

これがヒルトのガタが発生する主な原因です。


ヒルトのガタ原因はコレ!


ガタを修正するには肉痩せした厚み分のレザーワッシャーを新たに挟み込むことで解決しますが、その前に立ちはだかるのはエンドキャップです。

老人はカシメと呼んでいますが実際は溶接跡を平らに削った物です。

リペア作業はカシメを削ってエンドキャップを取り外し、レザーワッシャーの追加もしくは総交換をした後に再度エンドキャップを溶接する作業が必要となります。
費用は新たにナイフを購入出来るほどになりますから、余程そのナイフに愛着があるとか特別な理由が無い限りリペアは現実的では無いと思います。


ヒルトのガタ原因はコレ!
ヒルトのガタ原因はコレ!


初期のパイロットサバイバルナイフである6インチブレードモデルではネジ込み式のエンドキャップが採用されており修理可能な設計であったのですが、1960年代の大量消費使い捨て文化の煽りと言うか後継の5インチブレードモデルにはネジ込み式エンドキャップは採用されませんでした。

コストダウンも一つの要因でしょうし、そもそもが撃墜されたパイロットのサバイバルを目的とした簡素な作りのナイフですから、長期間使用する前提では設計されていないと思われます。
要は救助までの間ナイフとしての機能を維持出来れば良い訳ですから。

つまり、私達は長期間の使用は考慮されていない設計のナイフを数十年の時を経て入手している訳で、レザーワッシャーの劣化に伴うヒルトのガタつきは当たり前の結果と言えます。


ヒルトのガタ原因はコレ!
ヒルトのガタ原因はコレ!
ヒルトのガタ原因はコレ!


一方USMCナイフのエンドキャップは矢印で示したピンで固定されている仕組みで専用のジクと油圧プレスがあれば固定ピンを打ち抜くことでエンドキャップを取り外せます。

この辺りはUSMCナイフの基本設計が古く、修理して使う前提で作られているからだと考えられます。


ヒルトのガタ原因はコレ!


米軍パイロットサバイバルナイフのヒルトのガタを修正するのは大手術となりますので、日頃からレザーグリップのメンテナンスを欠かさず革を乾燥や劣化から保護することが重要です。


ヒルトのガタ原因はコレ!


よく「ナイフのレザーグリップに加脂の必要は無い。」と主張される方がおりますが、それはナイフが日常的に道具として使用されている事が大前提です。


ヒルトのガタ原因はコレ!


皮はその宿主である動物から剥がされた直後から腐敗と乾燥が始まります。
タンニン(渋)や油脂を加えて腐敗と乾燥を防ぐ『鞣し』を経て皮は『革』になります。

鞣しを終えた直後の革は十分な油脂が添加されていますが、革は外的に油脂を加えない限り徐々に乾燥が始まります。

ナイフが日常的に使用されている状態であれば革は人の手の油を吸収しています。
人の手の油によって加脂されている状態となり、メンテナンスの頻度は下がります。

メンテナンスしなくても良い訳では無く、あくまでもメンテナンスの頻度が下がるだけです。
レザーグリップがメンテナンスフリーだと主張する方はそれを加脂の必要は無いと誤解しているのだと思います。


ヒルトのガタ原因はコレ!
ヒルトのガタ原因はコレ!


しかし、ナイフを日常的に使用しない鑑賞目的のコレクションの場合は革の乾燥はどんどん進行します。
コレクション鑑賞目的ですと加脂によりレザーグリップの色が濃くなるのを嫌う方も多く、革の乾燥は更に加速します。


ヒルトのガタ原因はコレ!


加脂する事により革の色が濃くなる事は避けられませんが、半年に一度程度は軽く加脂しないと革は乾燥していずれ朽ちてしまいます。
博物館に展示されている古い革製品もノーメンテナンスでは無く、定期的に加脂されてコンディションを保っています。

大切なナイフのコンディション維持の参考にして下さい。





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