2018年11月21日
実物が優れているとは限らない。


画像はリニューアルされたローカルメイドタイプ米軍パイロットナイフシース3型のブレード収納部です。

このようにブレードの厚み相当のマチを備えています。

実物シース(画像右)とのマチの厚み比較
老人製はブレードの厚みに対して十分なマチを確保してありますが、実物のマチの厚みは十分とは言えません。


実物シース(画像右)とのマチ幅の比較
老人製は実物よりもマチの幅を拡大してあります。
後述しますが、これにはちゃんとした理由があります。
また、実物シースは革にステッチの糸を埋める溝を掘っていないので、糸が浮いた状態です。
こんなレザークラフトの基礎を無視した雑な作りでは糸が何かに引っ掛かった際や磨耗で切れやすくなってしまいます。


老人製は糸を沈める為に縫製前に溝を掘ってあります。

老人製にナイフを収めるとこんな感じです。


ナイフの抜き差しのしやすさを考えてブレードの開口部はブレードとのクリアランスを確保しつつ、必要最小限にしてあります。


実物シースのブレード収納開口部の画像です。
誰が見てもブレードの幅に対して開口部の幅が大き過ぎます。
これではシースの中でブレードが左右に泳いでしまいます。
前途した通りマチの厚みが十分ではないので何とかナイフがブレードの中で泳ぐ事はありませんが、所詮、大量生産の官給品なんてこんなレベルの作りです。
簡単に言えば実物シースは洗濯ばさみのように革でブレードを挟んで保持しているような感じです。

老人製はマチのこの部分をブレード幅に合わせて設計してありますので、ナイフの抜き差しではマチがブレードのガイドとなり、収納時にはブレードをホールドします。
物のディテールには必ずそうなっている理由があります。
機能面や作りでは圧倒的に老人製が実物シースを上回っています。
しかし、何の根拠も無く妄信的に実物装備が一番優れていると考えておられる実物至上主義者の方が多数おられますから、画像で事実を突き付けてもこの記事も見なかった事にして黙殺されてしまうのだと思います。
必ずしも実物シースが優れているとは限りません。

「素人の老人が作っている物など大した物では無い。」と、ある分野では素人や地味っ娘が好きなくせに偏見の眼で見ておられる方もおられるでしょうが、素人が作るシースの良さを分かって頂ける方に使ってもらえれば、それで十分です。
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