2018年09月06日
米軍パイロットサバイバルナイフタイプシース その7 縫製
米軍パイロットサバイバルナイフタイプシースを縫って行きます。
画像は砥石ポケットへ手縫い用の下穴をあけた状態です。
砥石ポケット縫製後
次に土台部分とブレード収納部を接着します。
皮革用の接着剤にはホワイトボンド系やゴム系など様々な種類がありますが接着性能に大差はありません。
使いやすい物で良いと思います。
専用工具を使って革にステッチ用の溝を掘ります。
革用の縫い糸は太く、革の表面に出っ張ります。
溝にステッチを埋める事によって糸浮きを抑えて糸が切れにくくなるのと、見た目が綺麗になります。
先にブレード収納口にカシメを打つのは接着した革のズレ防止が目的です。
縫製を終え、カシメを打った状態。
カシメは実物シースと同タイプのチューブラリベットを使用しています。
先端のみ中空になっているハトメに似た特殊なリベットです。
カシメはステッチの補強とする説が一般的ですが、私自身は補修もままならない過酷な戦場で万が一縫製糸が切れてもナイフシースとして機能させ続ける為のディテールであると考えています。
というのは、ステッチの耐久性を考えると腐食(錆)の可能性があるリベット(金属)は無い方が良いからです。
リベットの黒染め(黒錆処理)をしていなかったので塗装で対応。
実物シースのリベット(画像下段)も裏側が黒染めされていない所を見ると黒染めでは無く、塗装やコーティングの可能性があります。
厳密にはリベットの頭だけを黒染めする事は可能ですが、合理的な物作りをするアメリカしかも大量生産の軍用品でそのような手間の掛かる処理がなされているとは思えません。
黒染めをするのなら、素地のリベットを丸ごと薬品に漬け込む方が遥かに合理的だからです。
ニートフットオイルでオイルアップ。
ニートフットオイルは牛の脚から抽出した100%ピュアな動物性の加脂油です。
当たり前ですが、牛脂なので牛ヌメ革と非常に相性が良いです。
サラサラとしたオイル状ですから、施工の際は筆塗りをオススメします。
浸透性が高く、施工後にベトベトしにくいのも特徴です。
多少の臭いがありますがオイルが革に浸透すると臭いは収まります。
オイルアップ後の画像です。
ヌメ革は日光により被膜を形成しますので、しばらく日の当たる場所に放置したいと思います。
最初に被膜を形成させておくとコーティング効果で汚れがつきにくくなります。
ヌメ革の日焼け処理やエイジングに関しては詳しく紹介しているサイトもありますから、興味がある方は調べてみて下さい。
Posted by 老人ナイフ at 09:09
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